楽天モバイル、11月13日から工事を断行、和歌山県の基地局問題、住民の健康リスクよりも自社のビジネスを優先、懸念される電磁波の遺伝子毒性

 楽天モバイルが矢継ぎ早に通信基地局の設置を進めている。10月27日付けの本ウエブサイトの記事で、「電磁波からいのちを守る全国ネット」が楽天に対して工事を延期するように申し入れた(和歌山件の例)こをと伝えた。楽天はそれに従ったが、その後、新しい動きにでた。

【参考記事】楽天の基地局設置をめぐるトラブル相談が年間で約70件、楽天、「弊社としては総務省の電波防護指針に従って法令遵守で設置しております」

11月5日、楽天サイドの担当員が、基地局設置に抵抗している鈴木さん(仮名)の自宅を訪問した。鈴木さんは、この案件は「全国ネット」に一任していることを理由に、面談に応じなかった。そすると担当員は、「工事のお知らせ」と題するチラシを投函して帰っていった。また、鈴木さんへの私信も添えていた。

「工事のお知らせ」は、文字どおり工事日程を通告したものだった。それによると11月13日から11月20日の予定である。楽天は、いよいよ自社のビジネスを進めるために、鈴木さんの近隣にもマイクロ波を24時間、365日、放射する基地局を所有するのである。

電波防護指針は、5Gの場合、1000マイクロワット・パー・センチメートルである。(欧州評議会の勧告値は、その1万分の1にあたる0.1)楽天のスマホを使っていない鈴木さんには、迷惑な話である。

楽天は、鈴木さんへの私信で、工事を再開することになった事情を次のように説明している。

 鈴木様のご要望にお応えできないことは申し訳なく存じますが、先般もお伝えいたしました通り、電磁波過敏症につきましては、既にWHO(世界保健機関)がファクトシート296において、『電磁波過敏症には明確な診断基準がなく、多くの研究、実験に基づいた結果として、電磁波過敏症と電磁界のばく露(あびること)との結びつきに関する科学的根拠は存在しない』と明言しております。
社といたしましては、過去、現在の様々な公衆衛生上の事案に対するWHOの研究、実績等に基づく勧告およびガイドライン等の信用性からも、現時点でWHOの見解が一番信用できる内容であるとの認識でございます。

 電磁波は周波数帯の違いはありますが、携帯基地局やご利用の携帯電話からの電波のみならず、電気が通るところ、電気を利用する機器から発生することが知られており、既に鈴木様のご自宅内のみならず、各種公共施設や商業施設、ご利用になられている自動車、公共交通機関など、いたるところで発生しており、弊社基地局からの電波だけが特別なものではないとの認識でございます。(略)

楽天は、あくまでも自社のビジネスを優先するというのである。また、鈴木さんが問題にしているのは、5Gの通信に使われるマイクロ波やミリ波なのである。さらに電磁波の周波数とはかかわりなく、電磁波に遺伝子毒性のリスクがあることを多くの研究者が指摘している。

◆◆
先の衆院選の機会に、「全国ネット」の会員の方が、各政党に電磁波問題に対する見解を求めたところ、共産党から次のような回答があった。楽天の見解との著しい対照が浮かび上がる。

〇〇様

電磁波についてお尋ねがありました。

問1、電磁波過敏症という障害というか病気を認めますか?

問2、周辺住民の健康を守るため携帯基地局の設置について規制が必要ですか?

 お尋ねの問1に関しては、今回の総選挙に当たって、発表している各分野政策のなかで、電磁波と健康についてふれた部分があります。次の通りです。

 電磁波による健康への影響について、WHO(世界保健機関)は、2007年6月、新たな環境保健基準を公表しました。各国での医学的調査を基に、平均3〜4ミリガウス(ガウスは磁界の強さの単位)以上の磁界に日常的にさらされる子どもは、もっと弱い磁界で暮らす子どもに比べ、小児白血病にかかる確率が2倍程度に高まる可能性を認めています。

予防的考え方に基づいて磁界の強さについての安全指針作り、予防のための磁界測定などの対策をとるよう各国に勧告しました。日本でも、この勧告にもとづいて、電磁波に関する環境基準を早急に設定すべきです。

そのさい、日弁連が提言したように、電力・電波を利用する側の企業を所管する総務省や経済産業省から独立した組織として「電磁波安全委員会」を設置し、中立・公平な立場から電磁波にたいする安全規制を行い、予防原則にたった暫定規制、住民協議や電磁波放出組織に関する情報公開を制度化し、取り扱うという方式は、原発事故の痛苦の教訓からも妥当です。

携帯電話用の無線基地の建設など電磁波の発生源が急増しているなかで、国民の不安にこたえるためにも、電磁波の健康への影響にかんする研究・調査を積極的にすすめるよう求めます。

(総選挙各分野政策「37.環境」の中ほどのところにあります。URLは、 https //www.jcp.or.jp/web_policy/2021/10/2021s-bunya-037.html です)

 問2については、政策にある通り、環境基準を設定し、規制することが求められています。
 もちろん電磁波の健康への影響にかんする研究・調査をすすめるこも不可欠です。
 今の状況では、基地局設置に当たって、周辺住民が不安を持つことは当然起こりえます。
 設置に先立って、住民の不安を解消し合意をえることが必要であり、それは事業者の責任です。

 回答は以上です。

 

【参考記事】楽天の基地局設置をめぐる係争、懸念されるマイクロ波の遺伝子毒性、地主が反対住民に、「損害賠償請求の検討に入った」

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