「福島原発事故による周辺生物への影響に関する専門研究会」報告書について

執筆者:荻野晃也

MDK150325o福島原発事故による環境影響は、「全国ネット」の皆さんの関心の高い問題のひとつだろうと思います。小生は1979年の米国・スリーマイル島原発事故や、1986年のソ連・チェルノブイリ原発事故に関して、ご存知の方は少ないとは思いますが、現地調査に行ったこともあります。

原発事故では色々な放射性物質が問題になりますが、福島原発事故で最も心配されているのが「セシウム137」という放射性物質であり、特にそれから放射されてくるガンマ線の危険性が問題になっています。「全国ネット」の皆さんは「ガンマ線も電磁波の仲間だ」と言うことは良くご存知でしょうが、一般に「ガンマ線も電磁波だ」と言うことはあまり知られてはいません。その話をすると驚かれることを小生は経験しています。

mdk160307k2014年夏に京都大学原子炉実験所で「福島原発事故による周辺生物への影響に関する勉強会」が開催され、2015年夏には正式な「専門研究会」が開催されました。小生は最初の勉強会から出席していたのですが、以前から「放射能(線)と電磁波の影響」の類似性に関心を寄せていたからです。

電離放射線(つまり放射線)と非電離放射線(いわゆる電磁波)の「類似性と相違性」は防護指針との関連もあり、とても重要な問題で2014年には国際会議も開催されているのですが、その内容はどうも公開されていない様です。

福島原発事故で周辺生物にどの様な影響が出てきているのか・・は、関心の高い問題であるにも関わらず、断片的に報道されるだけで総合的な報告書は出されていません。その様な意味では、この「報告書」が最初の報告書だといって良いでしょう。

残念ながら、汚染の高い事故原発周辺での影響研究は「許可されない」と言う秘密主義がこの日本では行われていて、2015年秋に公的機関による「モミの木の異常論文」が始めて公表された程度だと思います。関心のあo0345023912157317427る研究者は「立ち入りのできる地域」で苦労して研究を続けているのが実情で、その様な研究者が集まっての始めての報告書が出版されたことになります。

小生も「専門委員会」に参加させて頂き、「原発事故による環境異変と電磁波被曝の環境影響」を話させて頂きました。「電磁波被曝による環境異変の研究」が沢山あることを参加研究者にも紹介したかったことと、原発事故の影響を考える場合には「電磁波影響も考慮して欲しい」との思いもあったからです。

電磁波影響の考えられない高汚染地域(つまり事故原発周辺)での研究を早急に行うことが、「事故影響を考える場合の最重要課題となる」とも考えたからです。この「専門委員会・報告書」は「京都大学原子炉実験所」から「KURRI―KR―209」として、2016年1月に出版されましたので、その表紙を「添付ファイル」にしました。報告書のPDFカラー版「KURRI-EKR-4」は、

■PDFカラー版「KURRI-EKR-4」

として公開されています。

また、発表の際に使用されたパワーポイントのスライドも、

■パワーポイント

として公開されていますので、放射線影響や電磁波影響に関心のある方は参考にして頂ければ幸いです。

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