危険極まりない総務省の電波防護指針、背景に電波利権企業との親密な関係

執筆者:黒

スマホなどの通信基地局の設置をめぐって電話会社と住民の間で、トラブルになるケースが増えている。その基地局問題の諸悪の根源は、総務省が定めている電波防護指針(マイクロ波の規制値)が実質的には規制レベルになっていないことである。それは次の比較値を見れば明らかになる。

日本:1000μW/cm2

中国:40μW/cm2

イタリア:10μW/cm2

スイス:6.6μW/cm2

欧州評議会:0.1μW/cm2(勧告値)

日本は米国と並んで世界で最も規制がゆるい国なのである。確かに1000μW/cm2まではいかなくても、900μW/cm2ぐらいのレベルを規制値に定めている国は少なくないが、マイクロ波が人体に及ぼす影響が研究により裏付けられて来るにつれて、海外では国とは別に地方自治体が独自の基準を設置するケースが増え、現在、規制値に大きな地域差が生じているのである。

日本の規制値は、1990年に設定された。それ以来、更新されていない。

◆◆
通信基地局の設置をめぐるトラブルが発生すると、電話会社は住民に対して必ず次のような説明をする。自分たちは、総務省の定めた電波防護指針を遵守して基地局を操業するので、健康被害が発生することはあり得ない。

実際、埼玉県朝霞市の基地局問題で、KDDIは総務省の電波防護指針について、次のような見解を示している。筆者からの質問に対してKDDIが回答したものである。

電波の人体への影響につきましては、日本をはじめ世界各国で60年以上に及ぶ研究結果が蓄積されており、これらの膨大な科学的知見に基づいて、電波防護指針が策定されています。

「60年以上に及ぶ研究結果」の蓄積とは、具体的には、現在から過去にさかのぼって60年という意味である。しかし、総務省がこの規制値についての検証作業を行ったのは、1990年に電波防護指針が設定された後、1度だけである。これに関するKDDIの説明をそのまま引用しておこう。

平成9年度より10年間、生体電磁環境研究推進委員会を開催、報告書がまとめられ、平成19年4月に公表されています。その後、平成20年6月に設置された生体電磁環境に関する検討会では、電波防護指針の評価・検討等を行っております。

この調査・調査研究は、筆者も知っている。その実体については、京都大学の元講師で電磁波問題の研究者だった荻野晃也氏は、『危ない携帯電話』緑風出版)の中で、次のように述べている。

この日本では、政府からの支援による研究が行われています。上野照剛東大教授(定年後、九州大学特認教授)を委員長とする「生体電磁環境研究推進委員会」なのですが、2007年3月に最終報告を提出して解散しました。

10年間で研究支援に使われた費用は100億円を超えるのではないかと思われるのですが、危険性を示す研究はゼロといって良く、安全宣伝費用に使われたと言って良いでしょう。

その委員会は、電磁波利用に利益のあるような人ばかりで構成されていましたから当然のことだろうと思いますが、EU諸国の研究支援と比べると、あまりにも差があります。一番重要な疫学研究をできるだけ避けるようにして、悪影響の出ないような研究計画を最初から立てているように思えるものが多いです。

◆◆
生体電磁環境研究推進委員会が調査・研究を委託した団体のひとつに、テレコム先端技術研究センターがあった。これは電気・通信関係の業界団体である。当時の役員構成は次の通りである。

会長:安田靖彦(東大名誉教授)
常務理事:監沢幹人(常勤)
理事:飯塚雄次郎(日立製作所)
理事:岩崎哲久(東芝)
理事:重松昌行(住友電気工業)
理事:田中茂(沖電気工業)

ちなみに現在の賛助会員は次のとおりだ。KDDIもNTTも入っている。

(株)NTTデータ
沖電気工業(株)
KDDI(株)
住友電気工業(株)
ソニー(株)
(株)東芝
日本電気(株)
日本電信電話(株)
日本放送協会
(株)日立製作所
(株)フジクラ
富士通(株)
古河電気工業(株)
三菱電機(株)

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