電磁波過敏症

 「電磁波過敏症」は1980年頃から世界的に急増しているハイテク病で、アメリカの 医学者ウィリアム・レイ博士によって命名されました。博士自身も病院の医療機器の  電磁波に過敏反応し、体調の不調を感じていたため、この過敏症に苦しんでいる人々の ために専門クリニックを開設し、その1つダラス環境健康センターには全米からこの病に悩む数多くの患者が訪れています。

電磁波過敏症は家電製品や携帯電話などから出る電磁波に反応し、一度過敏になると
他の人が感じないほどの微弱な電磁波でも過敏に反応します。症状は多種多様で
耳鳴り・頭痛・めまい・吐き気・圧迫感・体が熱く感じる・口や手が震える・動悸が激しくなる・不整脈・しびれ・呼吸苦・発汗・ひや汗・胸痛・視力障害(白内障・緑内障・ 網膜剥離)・顔面湿疹・疲労感・イライラ・平衡感覚障害等におそわれ、この症状は突然 襲ってきます。

症状が悪化すると送電線の近く、電車の中、家電製品、パソコン、携帯 電話、歯科のレントゲンや医療器具等にも反応し近づくことができない等の障害が現れ ます。

電磁波過敏症の主な症状 (ザミール・P・シャリタ博士著「電磁波汚染と健康」より)

たびたび発症する兆候: (1) 普通でない熱さや、日焼けのような熱さを顔に感じたり    炎症が起きたり、顔に赤みが出る (2) 顔から始まって体の他の部分に移る、
くすぐったさや かゆみ、刺すような痛みを感じる (3) 呼吸器上部の乾き、呼吸困難
(4) 目の乾きと炎症 (5) 集中力の欠如や、めまい、記憶や方向感覚の喪失
(6) 粘膜が膨張し(感染症ではない)、鼻、のど、副鼻腔、耳が腫れる
(7) インフルエンザに感染していないのに、症状が始まったかのような感覚
(8) 自己免疫疾患に関係するリュウマチ性の反応に似た症状

頻発しないが、もっと深刻な症状: (1) 頭痛、吐き気、疲労感 (2) 皮膚の感覚がなく なる (3) 歯や顎が痛む(4) 筋肉痛や関節痛 (5) 腹部への圧迫感や痛み(6) 頻脈や不整脈

さらに深刻な兆候:(1) 意識の喪失 (2) 脳溢血

北里研究所病院臨床環境医学センターの坂部医師によると、自覚症状を訴える人は眼球が滑らかに動かない、瞳孔の調整がうまくできないなど中枢神経や自律神経の機能 に障害が起きている割合が高く、ごく微量の化学物質で症状が出る「化学物質過敏症」と共通点が多いという。電磁波過敏症患者で最も顕著に変化が現れたのは、脳の血流量が健常者に比べて最大40%以上減るなど血流量が大きく変動する結果が出ました。
脳の血流量の減少は、脳の機能性に障害が発生しているわけで、上述の症状が発生する 要因になっていると考えられます。

電磁波過敏症患者のほとんどは見た目で症状がわからないため、思い込みや精神的な  病気との区別が難しいので、神経内科でも取り合ってもらえないケースが多く診療を  行う医療機関も少ない。過敏症患者は体がセンサーのように鋭敏になっているので、  微弱な電磁波にも過敏に反応します。この点が心因症と大きく異なります。

今のところ、主な対処方法は電磁波の発生源を避ける以外に方法がありません。    電化製品は配置を換えたり使用頻度を少なくすることで対処できても、送・配電線や  携帯電話の鉄塔から発生する電磁波は避けようがなく被害の拡大が懸念されます。

一般的に電磁波過敏症患者の方々は、特に携帯電話やコードレス電話の多用、パソコン 作業者、電波塔からのマイクロ波被曝、高圧送電線からの低周波被曝、医療機器からの高周波被曝が原因と思われるケースが多いように見受けられます。コードレス電話は子機を使わず親機を使うように心がけて下さい。子機からは強力な無線電波が発生して います。またヘッドホーンを愛用している方々の中には、携帯電話によるノイズが時々入り込み、無意識のうちに電磁波過敏症となり、耳にも障害(難聴)を受けた方もおられます。

 電磁波過敏症は化学物質過敏症と並んで患者の数が増大しており両方に罹患する ケースも多くなっています。 これは電磁波によるカルシウム イオン流出や脳中心部の 松果体(別名 磁気器官)からの分泌ホルモンの抑制による免疫機能の低下でアレルギー  状態になりやすいことが原因ではないかと考えられています。また最近の研究報告では、携帯電話から発生する微弱なマイクロ波が血液-脳関門を損傷する可能性があり、血液-脳関門を通して漏れる化学物質が大脳皮質内、海馬、大脳基底神経節などの神経細胞(ニューロン)に損傷を与えることを示しています。

更に超低周波電磁波と特定の有害化学物質との組み合わせが脳腫瘍(神経膠腫)のリスクを相乗的に増加させるという新しい研究も報告されています。超低周波電磁波と溶剤で複合的リスクは50%以上、除草剤と殺虫剤でおよそ2倍、鉛で4倍近い増加をみせています。このように高周波も低周波も共に脳機能に損傷を与えることが報告されています。

また「電磁波が花粉症の結膜炎症状を悪化させる可能性がある」との北里大学医学部教室のモルモットを使った実験結果があります。あらかじめスギ花粉にたいする抗体モルモットに注射して、スギ花粉症にしておき、このモルモットの巣箱を19型のテレビを40cm離して向かい合わせた間におきます。一定時間スイッチを入れて、モルモットに電磁波を当てたあとスギ花粉を点眼。すぐあらわれるアレルギー性結膜炎の反応を調べると、テレビを長い間つけたほど結膜炎も重くなることがわかりました。電磁波もアレルギー発症のかくれた引き金です。

電磁波過敏症、化学物質過敏症、花粉症等のアレルギーは体内の負荷総量(受容量)が限界を超えると突然 相乗的、連鎖的に発症するようです。

   WHO(世界保健機関)は2005年12月、電磁波過敏症の最新情報と対策をまとめたファクトシート
  (No.296)を発表した。過敏症の存在を初めて認め、一般的な症状として、皮膚症状(発赤、チクチク感、灼熱感)、神経衰弱症、自律神経症状(倦怠感、疲労感、集中困難、めまい、吐き気、動悸、消化不良)を挙げる。だが電磁波にさらされて起きることを裏付ける科学的根拠ははまだないとしている。


欧米では電磁波過敏症の罹患率調査と報告が行われていますが、日本では そのような調査も報告も皆無です。電磁波過敏症の罹患率は年々増加しており、狭い国土に無数の高圧線や電波塔を設置している日本では、電磁波過敏症の患者数は優に10%を超えていると推定されます。

2006年に雑誌「電磁生態学と薬学」に投稿された報告書によれば、2017年には人口の50%が電磁波過敏症(EHS)に罹患するであろうとの驚くべき内容です。 詳細はこちら