電磁波の範囲は広く、放射線・紫外線・可視光線(太陽光)や私たちの身近に ある送電線・携帯電話・家電製品・OA機器などから発生する電磁波もこれに 含まれます。
放射線(x線、γ線)、紫外線(UV)、可視光線(光)、赤外線(IR)、宇宙通信のマイクロ波(SHF)、テレビ・携帯電話の極超短波(UHF)や超短波(VHF)、ラジオ放送の短波(HF)・中波(MF)・長波(LF)から送電線や一般の電化製品の極低周波(ELF)等の呼称は電磁波の波長や周波数で分類されています。
可視光線や赤外線も電磁波なのに、 なぜ無害なのかという疑問が有りますが、これらの電磁波は生物のエネルギー源(光合成や熱エネルギー)として必要であり、 このエネルギーは生物の誕生と進化に不可欠な要素だからです。
自然界の電磁波は全く無害かと言えば、決してそうではありません。強い太陽光を 浴び 過ぎれば日射病や熱射病になるでしょうし、紫外線が強くなれば皮膚ガン、 白内障、 免疫力の低下が増加します。
ところが、ここ数十年の間に自然界に無い人工の商用電磁波が急速に多用されるようになり、それらが本当に安全なのかどうかの研究が国際機関を中心として続け られて います。
◇電磁波も光も放射線も一つの仲間
上の図に示してあるように、電磁波も光(紫外線を含む可視光線)も、原発事故で問題になっている放射線も、同じ仲間です。図の左側に行く程エネルギーが弱く、右側へ行く程エネルギーが強くなります。
図の「紫外線」のあたりで「電離放射線」と「非電離放射線」に分かれていますが、「電離放射線」とは、生体細胞の原子から電子を分離するほど強いエネルギーを持っていて、細胞を傷つける放射線という意味です。
「非電離放射線」は、電離放射線のようにエネルギーが強くないので、それほど危険ではないだろうと昔は考えられていたのですが、最近では、非電離放射線も細胞を傷つけて遺伝子の変異を起こし、発がんにつながる可能性があることが明らかになってきました。
◇発がん性の可能性あり
家電製品を動かしたり、照明をつけるために使われる低周波電磁波は、2001年に国際がン研究期間(IARC)によって「発がん性の可能性がある」と判定されました。
IARCは2011年には、テレビやラジオ、携帯電話、無線LANなどに使われる無線周波数電磁波も「発癌性の可能性がある」と認めています。
◇電磁波増えている過敏症が
電磁波の影響はガンだけではなく、発達障害との関係を示す研究もあります。近年は、家電や送電線、携帯電話基地局や携帯電話等から発生する電磁波が原因で体調を崩す「電磁波過敏症」の人が世界的に増えています。
症状は、頭痛や不眠、耳鳴り,目眩、吐き気、嘔吐、集中力や記憶力の減少、皮膚のかゆみなど、さまざまです。国内で診療してくれる医師は非常に少なく、多くの発症者が必要な診療を受けることもできずにいます。
◇危険性を知って子どもたちを守りましょう
電磁波は私たちの暮らしのさまざまな場面で使われています。しかし、その使い方には注意が必要です。
例えば、送電線の周辺などで3〜4ミリガウスの低周波磁場が発生している環境で長時間過ごすと,小児白血病の発症リスクが2〜3倍に増えます。子どもたちが過ごす保育園や学校、家庭などは、できるだけ磁場が低くなるように街づくりをする必要があります。
部屋の前を送電線が通っていて磁場が嵩イなら、寝室を別な部屋にすることも必要です。
子どもたちが長時間過ごす場所には携帯電話基地局や無線LAN設備を設置しないという配慮も必要です。